少し未来のように感じていた2020年が始まりました。2019年は2つの台風が猛威を振るい甚大な被害をもたらしました。地球温暖化とはこういうことかと感じた人も多いでしょう。そして、この問題に真剣に向き合おうとしない大人へ向けたスウェーデンのグレタさんの痛烈なスピーチにハッとさせられました。地球温暖化の影響は今まで私にとっても少し先のイメージでした。しかし、今はそれが現実味を帯び、もう対策にそれほど時間がないと感じるようになりました。なぜなら、その対策は温室効果ガスをゼロまたはマイナスにという異次元の目標だからです。
一般の人にとってゼロまたはマイナスというのは理解しがたい目標だと思います。これまでのような個人の努力だけで達成できるような目標ではないからです。しかし、その一方ではRE100という事業活動を100%再生可能エネルギーにしようという企業群も現れてきました。パリ協定のような政府間会議でなかなか野心的な目標が合意されない中では、志のある大企業が率先的な行動を取っていくというのは大きな意味があります。RE100に加盟しているのはアップルやグーグルといった巨大グローバル企業の影響力は今や国家以上のものがありえます。これまで化石燃料のサブ的な位置づけだった再生可能エネルギーが、もはや世界のエネルギーの中心になっていることを象徴する動きだといってもいいでしょう。
そんな世界の動きの中で、再生可能エネルギーの現場はどうなっていくのか。風車やメガソーラー、バイオマス、水力、再生可能エネルギーの現場は人里離れた山の中や、海の近く、世界の末端のような場所。そして、過疎化に悩む農山村や漁村です。今の状況だと再生可能エネルギーが100%になったとしても、その電源立地地域には人がいなくなっていたというようなことも起こり得ます。
「誰一人取り残さない」、SDGsに掲げられたこの理念は途上国だけに向けたものではなく、日本の中にも存在する課題です。RE100の実現も、SDGsのゴールの一つとしてとらえ、他のゴールとともに同時並行的に取り組んでいく必要があるでしょう。そうしなければ、世界の格差、日本の中の格差はまた広がっていくばかりです。