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第6回やまがた自然エネルギー学校
2017.02.07

はじまりは勉強会だった

2014年1月、エネルギーについては何の知識もない市民が集まって勉強会をはじめたのがそもそもの始まり。様々な市民が集まり、ワークショップを中心に何かをしながら学ぶ、Learning by Doing の醍醐味を感じながら、みんなでつくり上げたのが協議会の設立趣意書。この設立趣意文は、今でも行き詰ったらここに返るという精神的支柱になっているのです。

市民による、市民のための、市民の会社

協議会として太陽光発電事業をやるためにつくった会社が「おらって市民エネルギー株式会社」。市民による、市民のための会社をつくるというものの、リアルにごりごり事業をやって利益を追求する会社と、公共性、子供や孫のためにみんなで考える市民の協議の場が矛盾しちゃいけない。その矛盾が起きそうな綱渡りのような難しいこと目指したのです。そこで協議会は株式会社に出資する際に、種類株という250倍とか300倍の議決権を持つ株を保有するという方法によって、株式会社の意思決定権を持つという形をとったのです。

公共施設の屋根を借りる太陽光発電事業

特徴的なのは新潟市が無料で貸し出す公共施設の屋根を使うこと。行政が一法人に無料で屋根を貸せたのは、そこで得た利益を公的な活動のために供するというパートナーシップ協定を結んだからでした。行政と一緒にやる半公的な存在。そのことで地元の金融機関にも信用が出てくる。

ファイナンスをどうするか

太陽光発電の事業費は約2億7000万円。資本金約2000万円以外は銀行融資で市民出資は集めてから後で返す契約。融資は担保なし、連帯保証人なし、という信じられない条件。そんなことができたのも、銀行員も一市民として、自分の子供や孫にいい故郷を残したいという共通の意識から自分の仕事を越えて半歩、一歩踏み出してくれたこと。そういう半歩、一歩が集まってこの事業は実現しているのです。市民出資は2~3%の利息を付けて20年後に返すもの。本人は受け取れないかもしれないけど、お孫さんの名前で組めばと好評。

市民の中の様々なステークホルダー

市民の中には反原発の人も、金を借りて行う事業に対して抵抗ある人も。企業の人には市民とか民主主義とか意味が分からない人も。3.11後の社会をどうつくるのか立場を越えて集まっている場だということを何度も議論したのです。大きな目標に向かって、イデオロギーも政党も超えて、あらゆるステークホルダーが参加している協議会なのです。

秘訣は技術ではなくソフトにある

デンマークでは、大きな地域熱供給プロジェクトを進めるために、市民、行政、大学、金融機関、ありとあらゆるステークホルダーが一堂に会して会議ではなく、1週間泊まり込みでワークショップをやっていました。技術ではなく、そこに関わる人間たちが同じ方向を向いて、情熱を燃やすということが一番大事なのです。

ここが地球の中心

今起こっている社会の行き詰まりは、明治以降築かれた中央集権型システムの崩壊。かつて奥羽越列藩同盟というのがありましたが、新潟、山形、福島、ここが地球の中心、新しい日本はここから生まれるという希望があるのです。
(文責・三浦秀一)